カガミ

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「お金持ちになりたいっ!お金持ちにっ、あぁ!?また言えなかったっ!!」
悔しい!とコンクリートの地面に大の字になる君に、汚れるよと声をかける。願い事を3回唱える前に煌めく星はすっかり夜空から姿を消していた。
「もう諦めたら?」
「いやだ!絶対にお金持ちになるのっ!」
「星に願うよりも貯金をした方が現実的だと思うけどなぁ」
「夢のないこと言わないでっ!」
「ごめんごめん」
体を起こしながら眉を吊り上げて怒る君に笑いながら謝る。真面目に謝罪してないことが伝わってしまったのか、かなり不服そうだ。
「そういう君は何か願い事はないの?」
「私?」
「世界平和とか健康祈願とか!」
「規模が大きいなぁ」
「夢は大きいほどいいの!」
「うーん…そうだなぁ…」
キラキラと光る満点の星空を見上げる。大きな夢…。

「君の恋人になりたい…とか?」

「あっ」
タイミングよく流れ落ちた星に、今の見た?と隣にいる君に顔を向けた。
「…」
ぱくぱくと口を動かす君に目を瞬かせる。星明かりでも分かるほど君の顔は真っ赤に染まっていた。自然と僕の顔も熱くなる。
どうやら僕の願い事は星に祈らなくても叶うらしい。

4/25/2023, 10:05:34 PM