「兄さん!どこにいるの?」
そう叫ぶ少年
鳥の元を去り、森の奥深くまでやってきた彼は兄を探し続けていた
遠くに足音が聞こえる
「もしかして、兄さん?」
駆け寄ってみるが、人違いだった。それどころか…
『こんな所に人が居るなんて、珍しいねぇ』
目の前にいるものは、人には見えなかった
銀色の髪にローブのようなものを纏っていたが、顔や体の至る所に傷や縫い跡、さらに目のようなものが付いていた
そして、胸の中心には他より一回り大きな目がついていた
それらの目は全てこちらを見ている
「あ…」
少年はそれを見ると恐怖で固まってしまった
『あぁ、ごめんね。この姿だと怖がらせちゃうね。
でも、私はそういうのを隠すのは苦手だから、このまま話すよ。』
「あっ…はい…。」
『君は何故こんな所に来たんだい?ここは君のような子が来ていい場所ではないんだけどねぇ』
「に、兄を探すためにここに来ました…」
『お兄さん、この森に入っちゃったんだね』
「何か、知ってますか?」
『ん〜…。今の君に教えられるのは、この森には私のような怪物と呼ばれるものが住んでいることと、君のような人間がこの森のさらに奥に入ったら、人では居られなくなるかもしれないってことだね』
「ってとこは、もしかして…」
『君のお兄さんがもし、この森のさらに奥に進んでいたとしたら、もう戻れなくなっているかもしれないってこと』
「急いで探さないと!」
『あぁ、待って。私もついて行くよ』
「えっ?」
『君に対して少し興味が湧いたんだ。無事にお兄さんを探すことができるか、結末を見たいんだ』
「もう貴方の姿に慣れたので、好きにしてください。」
『そう。では、勝手ながらついて行かせてもらうよ。それと、これからはタメ口でいいよ。』
「分かった。それじゃあ、さっさと行くよ」
『はいはい、分かりましたよ』
こうして、1人と1体は森の奥深くに入って行った
『…モぅ、これデ2人は助Kaりマ線ネぇ゙。』
「何か言った?」
『いいえ、何も。』
10/2/2025, 11:40:29 AM