太陽のような
(という題とは少しちがう
お月様が好きだった。
夜の種族というのがあるなら、私もその一員であればと思っていた。
夜は憧れ。夜は部屋の隅の椅子。
夜に飲む熱い飲みもの。
光の輪の中での読書。
密やかにぽつぽつとともる灯り。盗み見る孤独、手を繋がずにいる連帯が好きだった。
今は朝が好きだ。
自分を作るものが衰えてはじめて、光と熱を欲しいと思う。
私を過ぎた季節を恋しいと思う。
真昼を歩いても、私の芯は冷えている。これからもっと冷えていく。
私にもう無いものにひたされて歩く。
手のひらに落ちる木漏れ日は噛み取ったような形の小さなお日様で、決して掴めないそれに触れようと見つめても、目の裏が鮮緑に灼けるばかりだ。
2/22/2023, 1:59:46 PM