いもパイン

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嵐が来ようとも
襲いくるような、雨が降り、飛ばされそうなほどの風が吹く。道路は川となり、車は水面を轢く。轢かれた水に、人は打たれる。その衝撃のせいで、ハンドルが思わぬ方向へ転回し、走っていた自転車が倒れる。自転車のベルがチリン、と寂しげな音を響かせる。自転車の籠は、原型を留めておらず、ハンドルの端は、コンクリートに削られている。最後に、ヘルメットは、離れたところで、地面に打たれる。
目にう映る全てが、悲惨。立ち直りかけの心は、無慈悲に粉砕される。横たわったまま、雨に打たれ、風に吹かれていると、折角着てきたポンチョも、意味をなさない。風邪ひくとか、どうだっていい。今から、濡れないように努力するほうが辛い。潔く仰向けになると、真っ黒な雲がゆっくりと動いているのが見えた。「何だか、楽になったな。」と思うと、ダムが決壊したかのように、涙が止まらない。以前のように、立ち直れない。今はただ、泣きたい。
これからは、何に私を捧げればいいのだろうか。

7/29/2024, 4:07:46 PM