君に物欲なんて、有るんだろうか?
欲しいと思ったら大抵の物は買えてしまう位には高給取りな君だが、生活必需品以外を買って帰ってきたことは皆無だ。
唯一有るとすれば二年前に買ってきた、3号ポットに植え付けられた弱々しい樹勢の、売れ残りの観葉植物くらいか。
君が甲斐甲斐しく世話を焼いたお陰か、ひ弱な姿は影も形も無くなって、今では伸びに伸びて窓辺を占拠している。
アレに合うオーナメントでも買っていこうかと、おもちゃ屋の前に佇む。
……やめておこう、枯れたら一大事だ。
ナイフのように鋭く冷たい風が吹き抜ける街を、眩く照らされた路面店のショーウインドーを眺めながら歩く。
スーツも革靴もフルオーダーだけど、それは仕事で必要だからだし、既製品ではピッタリサイズが無いからだ。
スタイルが良過ぎるというのも考えものだな、と道行く人々を一瞥して苦笑する。
その時、ソレがふと目に入った。
ああ、君もこんな感じだったのかな。
なんて思いながらソレに手を伸ばした。
テーマ「プレゼント」
12/23/2023, 2:59:17 PM