27(ツナ)

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未知の交差点

交差点というものは昔から事故や怪談話とのむすびつきから、よくいわくつきになる。

僕も実際に交差点で不思議な体験がある。
ワープする交差点だ。
おかしな奴だと思うだろうが、実際に体験してしまったのだから事実は変えられない。
仕事で転勤してきた関東の某所、少しずつ道も覚えて来たある日、早めに上がれたのでたまには違う道に行って見たくなった。
今まで行ったことのない未知の道路、未知の交差点を曲がると、なんだか街の雰囲気が一変したように感じた。
どうにも建物が木造の古いものばかりで、いわゆる長屋のようなものが建ち並んでいた。
驚いたのはその長屋の周りには着物を着た人しかいなかった、まるで時代劇のセットが突然目の前に現れたみたいに。
面白そうだと思い長屋の入口をくぐろうとしたら、何か透明の壁でもあるかのように先へは進めなかった。

引き返すと、いつもの道に戻った。
後日またその交差点へ向かおうとするが、どうしても道順が思い出せない。
マップアプリでいくら探しても長屋のようなものはなかった。
気になって図書館でこの辺りの旧地図を調べると、江戸時代は庶民が多く集まる長屋が密集している場所だった。
やはり交差点というのは何か時空の歪みのような事が起きやすいのだろうか、僕はまた未知の交差点を見つけられることを願う。

10/11/2025, 11:00:50 AM