私はとある事件で大切な家族を亡くした
受けた外傷と強いショックにより視力も失った。
なんで生き残ってしまったんだろう。
暗い洞窟に1人取り残された気分に陥った。
今まで当たり前に見えていたものが見えなくなるのは不安でしょうがなかった。
希望が見えなかった毎日を過ごしていた私に転機が訪れる。事故から1年後のことだ。
彼がわたしを訪れた。
彼も事件の被害者の1人だった。
事件の影響で記憶を失っているそうだけど。
私が今こうして元気でいられるのも全て彼のおかげだ。あの時彼が寄り添って傍で励ましてくれたから私は希望を取り戻すことが出来た。
今では私のかげかえのない大切な人。
来月、結婚する。
僕はある事件の被害者だ。
当時はニュースで大きく報道された。
犯人はまだ捕まってないようだ。
相当手練の計画的な犯行らしい。
迷宮入りの未解決事件としてドキュメンタリー番組で紹介されていた。
大きな外傷はなかったが記憶障害があった。
事件当時、事件以前の10年間の記憶がまるっきり無くなったのだ。
同じ被害者である彼女と出会って4年。
時が経つのはあっという間だ。
彼女と出会えた僕は幸せ者だ。
そう心から思える。
ああ事件から5年が経つ。
午前零時を指す。
秒針の音が不気味に響いている。
全てを悟った。
記憶が鮮明に蘇る。
記憶喪失すら俺の計画のうちだった。
彼女を不幸のどん底に落とした張本人。
犯人は俺だ。
もうひとつの物語
10/29/2024, 12:05:37 PM