風景に溶け込むように目立たないように息をして、この瞬間を過ごしたい。
こうして良い香りのする紅茶と遠くまで続く緑の山脈を見ながらユラユラと揺れる椅子に自分がどこにいるのかなんて関係ない気がする。
身体の境はどこだっけ?
ただ漂っている。何もない。透明な空間。それでも何かの存在を感じる。
ドンと身体が跳ねた。
どこからか落ちたと辺りを見回す。緑の山脈は変わらず、冷めたカップがある。
胸がバクバクしている。
身体が重い。
また、違うとこに行っていたのね。
膝掛けをかけようとした手を止めて微笑む姿に、ゆっくりと首を振る。
君がいない所なんか行かないよ。
二人でいればいつも透明な世界だから。
テーマ 透明
5/21/2024, 10:18:11 PM