糸
蓮の茎から取り出した糸の束を、花や草や木の枝に掛けてゆくお姫さま。
すると不思議なことに、糸はみるみるその色に染まってゆくのです。
お姫さまはその五色の糸で曼荼羅を織り、それは「蓮の曼荼羅」と呼ばれて、今も奈良のお寺にあります。
……という「ちゅうじょう姫」の絵本が好きだったのだが、偶然訪れた當麻寺こそその“奈良のお寺”だった。
中将姫を架空の人物だと勝手に思い込んでいたので、現実の蓮の曼荼羅(複製)や姫の像を目にして
「わぁ、本物!?」
と感動してしまった。
でも賢くて信心深い中将姫自身より、子供の頃惹かれたのは蓮の糸が草木で五色に染まるシーン。
芙蓉の花の色、タチアオイの花の色、萩の花と葉っぱの色、松の枝色…。
美しい伝説に再会した後は、名物の「中将餅」を食べて帰った。
6/19/2025, 5:51:53 AM