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私はずっと、貴方に憧れていた。

貴方の様になりたくて、時には口調を寄せてみたり、髪を同じ色に染めてみたりして、同期にはよく笑われたものだ。どれだけ追い掛けても決してその背に追い付く事など到底不可能だと解して尚、その行為を辞める事など出来なかった。

純朴に、盲目に、憧れていた背をひたすら追い掛け続けて何年の月日が経っただろうか。ある日の事、貴方は私の前から姿を消した。
きっと私に見限りをつけての行動だろうと思い絶望し、同時に怒りを覚えた。私を見捨てた貴方と、どうしても貴方の隣に立つ事が出来なかった自分の愚かさに。

貴方の行くべき先に、私を連れて行って欲しかった。

5/20/2023, 5:59:59 PM