白田先輩と少しの焦燥
⚠caution
・CP小説です mtks
・白√ネタバレを含む可能性があります
・白√後のいつか
・名前表記あり(ゲーム内準拠)
・妄想、捏造なんでも大丈夫な方のみ
やわらかな光
「なあ、⸺」
目の前にいる彼女が、太陽から差し込む光に照らされている。
まるで、舞台の上の彼のように。
スポットライトに照らされ、いつだって堂々と誰かになる彼のように。
当たっているのは僕じゃないのに、眩しい。
でも、立花。
何に照らされてるんだよ。
彼女に向かって駆けていく。
そして、手を取る。
「立花」
名前を呼ぶ。
彼女が振り向くと、差していた光はもう動いていた。
「えっ、白田先輩どう…」
「好きだ。」
ほら、あんな光なんかより僕に照らされていた方がよっぽど輝く。
舞台の上以外では僕が…
「白田先輩、好きです。」
手を取り、両手で優しく包み込む。
行きませんよ、と言わんばかりの目で僕を見つめる。
「はあ…立花には叶わないな、」
彼女をそのまま包み込む。
なにもかも、赦されてばかりでは困るが…今だけは。
◇
「…弱いな、僕は。」
「人間ですから、そういう部分もありますよ。それでも、私は白田先輩となら歩いていけると思ったんです。」
頭を一撫でする。
「止まったっていい。ただ、僕の隣にいてくれればそれでいいんだ。」
「はい。」
「というか、定期的に休め。もう…お前ほど突っ走る後輩を持つと楽じゃない…」
彼女は少し申し訳なさそうにすみません…と謝罪をする。
それでもやめることはないんだろうけど。
「…じゃあさ、お茶付き合ってよ。」
彼女がぱっと明るくなる。
「はい!その、私も誘いたくて…」
「ああ、そう…」
「白田先輩、照れてます…?」
「…行くぞ。」
少し先に歩みを進める。
それに彼女も付いてくる。
そして、いつのまにか自然に歩調を合わせ、並んで歩く。
今はきっとそれだけで良い。
二人にやわらかな光が差す。
その中で、二人は誰よりも幸せそうに笑った。
10/16/2023, 12:40:55 PM