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白田先輩と少しの焦燥

⚠caution
・CP小説です mtks
・白√ネタバレを含む可能性があります
・白√後のいつか
・名前表記あり(ゲーム内準拠)
・妄想、捏造なんでも大丈夫な方のみ



やわらかな光


「なあ、⸺」

目の前にいる彼女が、太陽から差し込む光に照らされている。
まるで、舞台の上の彼のように。
スポットライトに照らされ、いつだって堂々と誰かになる彼のように。
当たっているのは僕じゃないのに、眩しい。


でも、立花。
何に照らされてるんだよ。

彼女に向かって駆けていく。
そして、手を取る。

「立花」

名前を呼ぶ。
彼女が振り向くと、差していた光はもう動いていた。

「えっ、白田先輩どう…」
「好きだ。」

ほら、あんな光なんかより僕に照らされていた方がよっぽど輝く。
舞台の上以外では僕が…


「白田先輩、好きです。」
手を取り、両手で優しく包み込む。
行きませんよ、と言わんばかりの目で僕を見つめる。

「はあ…立花には叶わないな、」

彼女をそのまま包み込む。
なにもかも、赦されてばかりでは困るが…今だけは。





「…弱いな、僕は。」
「人間ですから、そういう部分もありますよ。それでも、私は白田先輩となら歩いていけると思ったんです。」

頭を一撫でする。
「止まったっていい。ただ、僕の隣にいてくれればそれでいいんだ。」
「はい。」
「というか、定期的に休め。もう…お前ほど突っ走る後輩を持つと楽じゃない…」

彼女は少し申し訳なさそうにすみません…と謝罪をする。
それでもやめることはないんだろうけど。


「…じゃあさ、お茶付き合ってよ。」

彼女がぱっと明るくなる。
「はい!その、私も誘いたくて…」
「ああ、そう…」

「白田先輩、照れてます…?」
「…行くぞ。」


少し先に歩みを進める。
それに彼女も付いてくる。

そして、いつのまにか自然に歩調を合わせ、並んで歩く。
今はきっとそれだけで良い。



二人にやわらかな光が差す。
その中で、二人は誰よりも幸せそうに笑った。

10/16/2023, 12:40:55 PM