わたしは生まれながらに醜い子
容姿は歪で肌には大きな痣がある
誰もわたしを見なかった
あからさまに目を背け
眉根を寄せて忌み嫌う
誰もが全身でわたしの存在を拒絶する
わたしはここにいるはずなのに
わたしはどこにもいなかった
わたしは常に膝を抱えて道端に蹲る
ここにいるはずなのにどこにもいないわたしは
どこに居ればいいかもわからなかった
けれどなるべくわたしは外に出るようにした
特に空が澄んだよく晴れた日は
だって家の中は暗いし寒い
たとえ誰に見向きもされなくても
よく晴れた日は座る地面があたたかくて
降り注ぐ陽光が
柔らかに視界を明るく照らしてくれるから
「もし、そこのあなた」
わたしがいつものように道端にいると
ふいに呼び掛けられた
「ちょいと道をお尋ねしたいのですが」
わたしを呼んだのは旅の人のようだった
旅人の声につい顔を上げてしまったわたしは
慌てて長い髪を下ろして顔を隠す
「おや、すみません。驚かしてしまいましたか?」
「ううん、違うの。わたし醜いから。あまり見てもいいものでないの」
わたしがそう言うと
旅人が不思議そうに首を傾げる
「ぼくは朝からずっと道に迷っていました。ここであなたの姿を見つけて、どれだけほっとしたことか」
ふいに旅人は微笑んだ
「むしろ、ぼくにとっての光明です。あなたに会えてぼくは幸運だ」
旅人の笑顔が眩しくわたしの目に映る
何故だろう
今日は一段とお日様の下が心地良い
【太陽の下で】
11/25/2023, 11:14:47 PM