今日のお題、ピンと来なかったので
別のタイトルで書きました。
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【小さな幸せを束ねて】
何者かになりたかった。
臆することなく、歳を重ねたかった。
年齢に見合った幸せが欲しかった。
ショーウィンドウの反射に、疲れた顔の私が映る。
日々いろんなことを感じては、笑って泣いて、
その度に、小さな皺を刻んでいる。
心ここにあらずのまま、
服を眺めながら、とぼとぼと歩いている。
「あれは私には若すぎる」
「これは老けて見える」
頭の中の声がうるさくて、買い物にならない。
ため息をつきながらも、足は止まらない。
ふと心に、あの人が浮かぶ。
今のあの人は、私には眩しすぎる。
まるで私が、ちっぽけな存在に思えて、悲しくなる。
――あの日、夢を失ってから、
私はうまく歩けなくなってしまったんだな、と。
そんな自分の気持ちに、ふと気づく。
けれども。
今が一番若くて、
この身一つで、一つの人生を生き抜くしかないことも、
ちゃんと理解している。
買い物客の波に飲まれながら、
泣きたくなって、思わず斜め上を向き、涙を堪えた。
認めるしかないのだと、諦めがついた。
今は耐える時期。
幸せを見つける時間。
まだ時間はある。
けれど、この人生は有限だ。
だから、こんなくだらないことに悩むのは、もうやめよう。
ふとお腹が鳴った。
帰るまでに時間がある。
ラーメンでも食べて帰ろう――そう思って、一人、ラーメン屋に入る。
熱々の湯気、いい香り。
ああ、今って幸せだ。
子供の頃に期待していた“幸せ”は、まだ遠いかもしれない。
でも、こうして小さな幸せを感じながら、生きている。
なんだ、それで十分じゃないか。
まだまだ人生は長い。
絶望するには、まだ早い。
小さな幸せを束ねて、いつか大きな幸せを手に入れよう。
私はそう思いながら、味わい、スープまで飲み干し、食べ終えたのだった。
7/23/2025, 11:17:32 AM