急に子どもが私に向かって走ってきた。後を追うように、その子の父が走ってはダメだと注意を呼びかける。私のもとに辿り着いた頃には歩いてやってきた。
その子は、図書館でお菓子を食べていけないのならアメもダメなのかと尋ねてきた。私はそうだよ、いけませんよと答えた。
子どもは私の答えを聞いて満足したのか、父親の所へまた駆け出して戻っていった。おそらく父の言うことが正しいのかどうか確かめたかったのだろうか
マスク越しで私は思わず頬を緩めた。数分前まで飴を舐めていた舌先で、よくもまあ何でもないフリをして言いくるめたものだ。
(241211 何でもないフリ)
12/11/2024, 1:09:54 PM