何でもないフリ No.7
幼馴染みの、亮介。
出会って10年、私たちも大人になった。
久々に公園のベンチでたまたま出会って、亮介はコーヒー片手に手を振って来た。
昔は二人ともコーヒー苦手だったんだけどな。
改めて大人になったことを実感する。
どこか昔の亮介の面影があったから、すぐに誰か分かった。デニムの羽織がよく似合う。……なんだか照れくさくて、褒めることは出来なかったけど。
ベンチで二人並んで座って、しばらく話をした。
最近どう?とか、身長伸びたね、とか。しょうもない話ばかりだったけど楽しかった。
急に亮介の体が固まったから、真剣な話なんだと思って、私もつい固まった。亮介の口から出たのは、恋愛相談だった。
え、って思った。
何でか分かんないけど。……すごくショック、だった。
「隣人なんだ」って言ってた。
私は固まったまま何も言わなかったから、亮介はどうした?って聞いてきたけれど、ううん、なんでもないよ、って笑って返した。
何でもない。
……はず。
12/12/2023, 12:54:25 AM