『言葉はいらない、ただ……』
言葉なんて二人には必要なかった。
そんな紡がれては消えていく音に興味などない。
ただ、その温もりだけがあればいい。
相手を感じられたらそれでいい。
どちらからともなく呼び出しては何も言わずただ身体を重ねていく。
お互い求め合うように、激しく熱く……。
身分違いの二人には誓いの言葉を交わしたところで、それは決して許されるものではない。
愛していると伝えあったところでそれは虚しく響くのみ。
結ばれぬ二人。秘密の逢瀬。
言葉はいらない、ただ……
全てを曝け出し身も心も溶け合ってしまえたら
それでいい……と、今宵も甘く酔いしれていくのか。
8/29/2024, 4:46:08 PM