光頼

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ススキ
              「誘惑星」
今、誘惑星に来ている。
誘惑星は、月によく似た星で、酸素があり、重力もある。
俺は、犯罪を犯し、一本のガスボンベだけをわたされ、宇宙に飛ばされた。
おそらく、死刑というものだろう。
意識がなくなる寸前、誰かに誰かに優しく包まれた。
意識が戻ると、目の前には真っ黒な光景が広がっていた。
「…?ここどこだ?何も見えない…」
そうして起き上がろうとしたとき、俺は驚いた。
これ、景色じゃない…
最初は、真っ黒な宇宙かと思っていた。でも、起き上がると、その先には、
少し青っぽい、黒色のうちゅうがみえたのだ。
だとしたらこれは景色ではなく…物?
そう思い俺は手を伸ばそうとした。
「目が覚めましたか?」
誰かの優しい声が、俺の頭から聞こえる。
だがもちろん脳内に話しかけられているわけではない。
俺の、頭の上、黒い物体の上から話しかけられている。
…もしや!?
俺は、物に当たらないよう、横から起き上がった。
…やっぱりそうだ…
目の前には、かわいいかわいい、バニーガールがいた。
物は、その…アレ…というわけだ。
状況が読み込めない。バニーガールはどうしてこんなに冷静なんだ?
何か知っているかも…
そして俺は、バニーガールに色々聞き、今に至る。
バニーガールは、どうやら名前を教えたくなく、俺と同じで死刑のようだ。
バニーガール…といちいち言うのは面倒だから、仮にあやかと名付けさせてもらう。
あやかは、酸素に余裕があるうちに場所を確保しようとしたらしく、
その時見つけたのが、この誘惑星だ。
どうやら、あやかは一応食料のりんごをもってきており、
あきらめながらも、りんごの種を植えて育て…食量も確保!というわけらしい。
今わかっているのはこの星についてと、
あやかは、謎が多い天才ということだけだ。
まだ信用しきれていない俺は、あやかから少し離れた。
チラッとあやかをみると、あちらも笑い返してくれた。
俺は、正直キュンとしてしまった。あやかには俺の性癖が詰まっているから。
露出多めの巨乳、ミステリアスでおしとやか、清楚系の優しいロング髮。
耐えきれず俺はいってしまった。
「出会ったばかりですが俺と付き合ってください!お願いします!」
「あっ…ごめんなさい…キモくて無理…てか、初対面でウケるw」



 
意味がわからない。さっき言った癖とは真逆だった。
巨乳だと思っていたのは服の中に詰めたりんご、肌色と黒の服、
一瞬で性格丸わかりの、元気なギャル、優しさのかけらもない断り方…
唯一当てはまるのは、ロング髮。正直一番いらないところ。
だとしても、ここから逃げ出して死ぬのはいやだ。
これからここに住むしか無い。



そうして、俺とあやかの気まず生活が始まるのだ。

11/10/2024, 1:06:30 PM