花の香りと共に
夜の帳が降りるたび、
この身を蝕む痛みが募る。
風に運ばれる花の香りが、
遠い記憶を、そっと呼び覚ます。
許されぬ恋と知りながら、
お前に手を伸ばした、あの日。
その罪の重さに、
幾度押し潰されようとも、
それでも、尚、
お前の温もりを求め続けた。
俺はお前を、
罪人にしてしまった。
背徳の鎖はあまりに重く、
背負い続ける程の力もない。
闇に沈む後悔は、
静かに血を流しながら、
朽ち果てる花のように、
音もなく散りゆく。
もしも、運命が嘲笑うのなら、
いっそ、この世界ごと、
焼き尽くしてしまえ。
二度と朝が来ないように、
全てを灰へと還してくれ。
花の香りと共に、
ただ、お前の名だけを抱き締め、
独り、罪の全てを背負って、
静かに消えてゆこう。
願わくば。
お前に触れた罰が、
この身にのみ下されることを。
3/17/2025, 7:40:46 AM