NoName

Open App

2『理想のあなた』
先生「佐藤将さんが先日、亡くなりました」
それが始まりだった
佐藤将 彼はクラスの人気者だった。不良から女生徒を守ったり、ひったくりを捕まえたり、彼の武勇伝を挙げればキリがない。小雪とは特に仲がよかった。よく彼は理想の人だと話していたのを覚えている。俺との関係は浅くそこまでショックではなかったが皆は違った。
突然の事に嘔吐する者。あの不良の御崎柊斗でさえ号泣しているのだ。小雪に関しては白目をむいて気絶している。そんな漫画みたいなの状況に思わず笑ってしまった。
すぐにHRが終わり先生とHR長の大塩大斗によって小雪を保健室へと運ばれた。その時の小雪の顔は爆笑物だったが俺は必死に笑いをこらえた。
そんな状況でも時間は待ってくれない、すぐに授業が始まりいつも通り3時に学校は終わる。小雪さんは早退した。涙も枯れたと言わんばかりの顔をしていた。相当ショックだったようだ。

帰り道、スマホを見ながら下校していると、女生徒達の話声が聞こえてきた。
「将くん、殺されたらしいよ」
「嘘~恨みをかうよな人じゃなかったでしょ」
「たしかにそうだけど、いろいろと......」
そこからはよく聞き取れなかった。

殺された?
ばかばかしい。初めはそう思っていた。

翌日、いつものように教室に入ると皆が真剣な様子で何かを話し合っている。聞き耳をたててみると、どうやら「将くんの死因について」話し合っているようだった。いったいなぜそんなことが話題に挙がっているのか疑問に思い、さらに聞き耳をたててみる。
手塚健「佐藤将の死因なのだが多量出血によるショック死だと分かった。出血理由はパイプのような鋭い金属片に転倒した際に胸にパイプが刺さった......というのが警察の見解らしい」
大塩大斗「死体発見現場は工事現場だ。立ち入りが禁止されている場所にあの真面目な健が入るはずがない。」
東雲兎美「そもそもなんで工事現場に入れたんだろう?。誰か人が居るだろうし、いないなら入れないように鍵とかかけるはずだよね。」
「鉄パイプはどこから?」
「鉄パイプを鋭く加工する必要とは?」
次々と疑問が挙がってくる。
たしかにおかしい、高校生でも分かる。それなのに警察は事故として処理しようとしている。
なにか裏があると議論が白熱してきた頃、小雪が教室に入ってきた。いつも元気な彼女だが、まるで幽霊のように虚ろな目をしていた。
将が殺されたと聞くまでは......
つづく

5/21/2024, 6:20:06 AM