ネタを求めて

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 桜散るその瞬間、私はあの人に恋をした。
 慣れない制服に身を包んだ私たちは桜に歓迎されながら帰路に着く。
 各々が帰る中、私と彼だけが取り残されていた。私は純粋に、桜を堪能してから帰ろうと思ったのだけれど、もう1人お客さんがいたみたい。
 名前も知らない男の子は桜並木に咲く1本の八重桜を見上げている。桜越しに見える彼はとても綺麗だった。寂しそうにしていた顔は、桜を前にすると綻んでしまうらしい。
 不意に、彼と目が合った。見つめ過ぎたかな。
 「今日はとても天気が良くて、桜が綺麗だよね」なんて、言えたら良かっただろうに。私の頬はほんのり赤く染っているだろう。
 花びらが風と踊る間、私はずっと迷っている。
_桜色の初恋を

4/17/2023, 10:58:21 AM