「窓越しに見えるのは」
私だけの世界と
私以外の世界
リンとなる鐘の音の世界と
ガッとなる鋼の音の世界
パステルの世界と
バロックな世界
誰かが窓をたたく世界と
誰かが扉をたたく世界
私は客人を一瞥して窓を開けず
私の世界の災いを避ける
人は客人を選ばずに扉を開け
己の世界の侵食をさせる
私の眺める窓越しに見えるのは
壁にかかる額縁の中の絵画と同じ
私の世界の色とは異なり
私の世界の音とも異なり
私の世界の空気も風も匂いも温度も
それらと全て異なり 相容れないもの
私から絵の中へ入ることを望まぬ限り
絵から私の中へ入ることはかなわない
私から窓の外へ手を伸ばすことを望まぬ限り
窓から私の元へ手を伸ばすことは許されない
窓越しに見えるのは
おそらくは 私に許されようもない世界
「窓越しに見えるのは」
7/1/2023, 11:01:27 AM