#この世界は
あれは、本当に一瞬の出来事だった。
三が日も終わり、世間が新春ムードから落ち着いた頃
ようやく休みが取れて、近所の馴染みの神社に
お参りに行った。
境内には、華やかさの名残のように
増えた絵馬と、無数に結ばれたおみくじの数。
神社は、願いを言う場所ではなく、
今ある幸せを感謝、報告する場だといったのは
祖母だっただろうか…?
そんなことを思いながら、健康体で五体満足
ただ、近しい身内は全て送り出し
少し、家が広いことだけそっと心の中でこぼした。
微苦笑を浮かべながら、鳥居の端をくぐった瞬間、
薄布を割いて通ったような感覚……
小首を傾げながら振り返ると、そこには
本殿を飲み込む程の巨木
太い枝に座り、あの年頃には似合わないニヒルな
笑みを浮かべている童子
こんなに遠いのに、まるで耳元で言われたかのような
『いらっしゃい』
1/15/2026, 12:07:55 PM