宿題紛失丸

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曇り空

講堂は使われていなくても、湿気対策の為に解放されている。

非常出口のライトだけついているような陰気くさいところには、人はより付かない。

私だってそうだ。だから舞台袖のスイッチを操作して、蛍光灯を3本だけ付ける。

3本が重要だ。半開きの扉から光が漏れ出ない。

寝っ転がると、木の板特有の硬さと暖かさを感じる。先生が立って話している舞台も、私だけでは自室と変わらない。

自由登校期間だから、先生も滅多に見回りに来ない。私だけの秘密基地。


学校は好きだ。好きだからこそ、人が必要ではない時がある。居場所と向き合った方がいい時は、3年間過ごした中でちらほらあった。

そのような時にここはうってつけだ。照明操作を知れて、つまり演劇部に入って良かった。


「良かった」


ごろん、暗い客席をのぞく。舞台の縁と平行だと思った。


演劇は中学でおしまいだと思っていた。
仮入部で知り合ったあの子に誘われた。人が足りないこらと、やんわり断ったのに返答されたので、入った。

そこからずるずると入り続けた。オーディションをサボるなんて初めてだった。そのまま忘れてくれたって良かった。

あの子が部長になって、役者のトラブルで私が大会に行くことになった。

例えるなら、保育園の先生みたいだった。幼児に対して大人が少ない、あの雰囲気だった。

この雰囲気が嫌で演劇部に関わりたくなかったのに。
私のよくない性格で、その後からたくさん口を出した。

一番面倒くさいだろうに、あの子は感謝を口にした。
嬉しかった。


あの子は一所懸命に演劇をしていた。素敵で、かっこよくて、羨ましく、尊敬した。


あなたが部活で得たものは?と聞かれたら、あの子と出会えた人生、と答えるだろう。
人生は少しくさいよ。あの子はそう言いそうだ。

シリアスより、喜劇を好んでいたから。



2/25/2026, 3:36:23 PM