開けないLINE
咲宮 風夏 視点
「ふーりんと同じクラスになれた!」
中学からの親友であるミライと同じ高校を受験して、見事2人で合格できた。
「ほんとだねー」
しかも、前の席がミライ。
「ねー、お前らどこ中ー?」
私とミライが話していると、班が同じの男子2人がこちらを見ていた。
「✘✘✘中だよ〜!2人はっ?」
ミライが勢いよく話にのる。
「俺ら、✘✘中」
「へー」
私の興味なさげな声を聞くと、隣の男子が眉をひそめる。
「何お前?反応うざ」
「あっそ」
この、名瀬という奴とは、数週間後には、犬猿の仲、とクラス……いや学校中で有名になる程に、仲が悪かった。
「ねぇ、風鈴」
その日の放課後、なぜかミライの隣の席の春坂が話しかけてきた。
「だから、風夏だって…ミライがずっと私の呼び方が風鈴なのが悪いんだ……」
私がぶつぶつ言っていると、春坂が口を開く。
「好きなんだ…」
横を向いているけど、頬が照っているのは分かる。
「あっ、やっぱり〜?!絶対ミライのこと、」
「俺、風鈴が好き!!!」
「…え?」
真っ直ぐな瞳は私を捉えていた。
私は、言葉につまった。だってずっと、春坂はミライのことが好きだと思っていたから。私が春坂に告白されるなんて、思ってもいなかったから。
「春坂……私のどこがいいの?」
何もいいところなんてないのに。
「…最初は、ぶっきらぼうな人だなって思ったよ。……でもさ、沢山の時間を共にしていく内に分かったんだ。美人で頭がいいのに、絶対に人を見下すような態度を取らなくて、人を褒めることが苦手で、優しくて寂しがり屋で、実は泣き虫で……それでも大切な人の為に頑張れてて……」
「あと今みたいに、すぐ照れるとこ」
「てっ照れてなんかっ!」
声が裏返る。私は照れてないんだから。
「俺と、付き合って下さいっ!」
あぁ、春坂、本気なんだ。
「私も好きっ!!!」
水川ミライ視点
「……」
初恋の相手の春坂と、親友のふーりんは付き合った。お似合いカップル。
そして、2回目に恋してしまった名瀬は、ふーりんに片思いしていた。
「あーあっ!ミライもふーりんになれたらなぁ……」
LINEの着信音がなる。
「…ふーりんから?」
通知には途中までしか書かれていない。
【私、名瀬に告白された……。意外すぎない?!】
そこまでしか読めなかった。
「嫌だっ!嫌だよぉ……ふーりんになりたかった…」
布団の上で泣きじゃくる。
親友……そして、強い強い恋のライバルであるふーりんからのLINEが、どうしても開けなかった。
「ごめんねッ、ふーりん……」
9/1/2024, 2:36:44 PM