寒い冬の空
周りの電気は次々に消えていき
彼女は1人
夜の暗闇の中で息を潜める。
手足はかじかむけれど
心臓は熱くドクドクと脈打っている。
“早く会いたいな”
同棲中の彼を
寒さに耐えながら彼女は待っていた。
こんなところに
2時間以上待たせて
いつも平気な顔でやってくる彼を
彼女は疑いもなく愛していた。
いつからあんな男に熱を上げていたのか
彼女の心は朦朧としていた。
冷たい態度に怯え
小さな優しさに縋る。
上がりきるでも
下がりきるでもない
生殺しのような微熱の中で
彼女はいつ平常に戻れるのだろうか―――
#微熱
11/26/2024, 10:57:43 AM