白糸馨月

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お題『時を告げる』

 寝坊した。鳴ったはずのアラームが聞こえなかった。
 急いでスマホを確認して、目覚ましのスイッチがオンになっていたことに愕然とする。スヌーズ機能はうざいから切っていた。
 私は急いで身支度をして学校へ向かう。アラームが聞こえなかったことなんて、言い訳にならない。
 だけどそういう時に限って電車は遅れているし、人だって多い。
 私は暑さと遅刻した時に廊下に立たされることを想像して、生温いんだか、冷たいんだかの汗をだらだら流す。
 さいわいなことに最寄り駅から学校まで電車は一本だ。乗り換えがなくて済む。
 学校のある駅に着いて、おしくらまんじゅう状態を押しのけて脱出する。
 始業まであと五分。電車の中で急げなかった分、私はけんめいに走った。
 走って、走って、学校の門が閉まろうとしているのが見える。

「ちょっとまったぁぁぁぁ!!!!」

 私はこんしんの力を振り絞って、締まりつつある門を突破した。それからがむしゃらに教室まで急ぐ。
 教室のドアに担任が近づいているのが見えた。

「せんせぇ、おはようございまぁぁぁす!!!」

 私は教師を抜き去ると勢いよく教室へと入り、そのタイミングでチャイムが鳴る。
 どっと来る疲れと、達成感から自分の席についた瞬間、突っ伏してしまった。
 教団に立った担任が呆れたようにため息をつくのが見えたが、間に合ったのだから責められるいわれはないだろう。
 私は始まったホームルームを堂々と机に突っ伏しながら聞き続けていた。

9/7/2024, 3:36:44 AM