※『君が隠した鍵』で思いつかなかった為、11月15日のお題で行きます。
お題:ささやかな約束
「んじゃ、事件が終わったら、いつもの場所で飯会しようぜ」
検挙予定のカルト集団が作った、血と轟音で彩られし混沌とした現場の渦中だと言うのに、コイツは何時もの世間話の様にそう言った。
「今この現状で言う事か?それ」
「だってその方が俄然、やる気出るだろ?」
と、相変わらず不敵にそう笑って見せて言う。
「俺はとっとと終わらせたいだけだが」
「そう味気ない事言うなよ」
と1度、間を取って
「下手したら、俺ら揃って【お陀仏】になりかねないんだしよ?」
と言いながら、自分の背後を発砲した。
時差で断末魔の様な物が聞こえて来たが、今は気にしていられない。
「・・・・・それなら、お前が一番危なっかしいんだが」
「・・・・・それはそうかも」
と、珍しく、至極真っ当な返答をしてくる。
全く、もう20年程の付き合いになると言うのに、コイツの考えてる事はあまり分からない。
「だが、お前の言う通り・・・・・理由があった方がお前は帰ってきやすいか」
と、コイツの言う様な・・・・・《ささやかな約束》になる様な物は無いかと少し考える。
「え、俺はいつも、ちゃんと帰るつもりだが?」
「よく瀕死になりかけるバカが言うか」
と、すかさずツッコミを入れた後
「んじゃ、お前が頑張ったら『夕飯奢る』」
と、思いついた約束を言った後、コイツの背後から襲いかかってくる輩を1歩踏み込んだ勢いそのまま、警棒で殴り倒す。
「!イイねぇ・・・・・やる気出てきた。約束破んなよ?」
「ハッ、お前こそ約束破るなよ?」
と言って自分達はそのまま、混沌とした現状を止めるべく、儀式の中心部へ走り出した。
By ある捜査一課長と特別捜査官の、突撃5分前の会話
11/25/2025, 9:40:05 AM