『言葉にならないもの』
書き物をしていると、モワモワと頭の中に湧いてくるものがある。
台詞でも場面でも設定でもなく。
ただモワモワと、湯気のような綿菓子のような何か。
色でも匂いでも音でもないソレを、なんとか掴み取ろうとして四苦八苦する。
文章どころか言葉にすらならないソレに、頭の中の引き出しをひっくり返してピッタリ嵌まる言葉を探す。
ジグソーパズルのように。
大抵の場合徒労に終わるが、稀にカチッと音が鳴るくらいピッタリ嵌まることがある。
そうすると不思議なもので、それまでただのモワモワだったものが一気に収束していって、あれよあれよと言う間に文章が綴られる。
自分でもびっくりするくらいの速さで。
推敲もいらないくらい過不足なく。
それを一度でも体験してしまうと、その気持ちよさが忘れられなくなるんだよなぁ。滅多に起こらないんだけど。
8/14/2025, 9:19:52 AM