気がつくとそこは雪原のど真ん中で、あたり一面の白。ボクはダウンジャケットの背中に身を預けていて、ダウンジャケットの彼はボクを背負っていても、『雪原の先へ』先へと、軽やかに進んでゆく。彼の足元に目を落とすと、わらじにカンジキを付けていて、ああなるほど、ってボクは思ったんだ。
是非とも冬将軍様にお目通りを、って彼──冬足軽がね、ダウンジャケットのお礼にって、そりゃもう、うれしそうに言うんだ。ボクを背負ってる彼だけじゃない、ほかの冬足軽たちも、ダウンジャケットをすごく喜んでくれて──。
「あー……あれから本当に、冬足軽にダウンジャケット着せてやったのか。ほかの冬足軽たち、てことは人数増えてて、そっちにもダウン着せてやって……夢とはいえ、オマエって律儀なヤツだな」
一面の雪なのにぜんぜん寒くないのはたぶん、ダウンを着込んだ冬足軽たちに取り囲まれてるせいなんだろう。お揃いのダウンジャケットを着た彼らは、楽しそうに歌なんか歌っていて、もうすぐ着くから、ってボクを励ましてくれて。雪原を抜けると川があって、その川を渡れば、冬将軍の陣が……。
「んん? 川を渡るってのは、なんか……あ、体温計鳴った……は? 熱、ぜんぜん下がってねぇじゃねえか! ちょ、ストーップ、冬足軽どもに全隊止まれ、って号令! じゃない、解熱剤……ってこれ、昨日の夜の分だろ?! ちゃんと飲め、こんのクソバカヤロウが!」
12/9/2025, 8:50:20 AM