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些細なること、つまびらかな、少女の今日の一日。
子細で、起伏に飛んだ、物語のような今日。
児童書を読みながら、猫を撫で、兄と語らい、夕刻は母にならって食卓につき、夜になると屋根裏のカウチソファで寝る。
そんな、自由な一日。
彼女はそれに満足しているか?
否、していない。
自分がお姫様であればいいと、いつも思っているし、食卓のパンに塗る蜂蜜が、黄金色に輝いて塗れられればどんなに素晴らしいことかと思っている。
スープの中のカブが、牛肉の柔らかく煮込んだスジ肉であったりして、飽食の象徴のような、豪勢な食事を、彼女は物語の内に望んでいる。
その、自由な意思は、兄との会話にも表れる。
「お兄様、お母様がお妃様で、お兄様が王子様であったら、どんなにいいかしら」
「夢を見るのはいい加減おやめよ。もう、十二歳にもなるんだから」
昔の兄は、全部彼女の話に着いてきてくれ、またその空想の内に、語り合うことも多かったのに……。

9/3/2023, 10:14:12 AM