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「今年はプレゼント貰えっかなあー?」
同居人・東城翔(とうじょう かける)はそう言って寝転がりながらこちらを振り返る。
やや高揚したその声と、ニヤついているのを隠しきれていない顔に無性に苛ついた俺は、持っていた本を隣に置き、近くにあったクッションを投げ付けた。
「いてっ!…ったく、ひでぇなあ。こんなに男前で愛しの恋人に対して容赦がねぇよ、全く」
「…うるさい。お前が調子に乗っているからだ」
俺はそう投げ捨てるように言うと、再び本を読み始める。
「ちぇっ、何だよ。俺に優しくしておかねえと明日サンタが来なくても知らねえぞー!!」
サンタはどこからでも見てるんだからな、と翔はこちらを前のめりになりじっと見つめながら言った。
俺は返事を返さぬまま、本で己の顔を隠す。
(…ったく……)
俺は心で溜息をついた。
いつもの2割増くらい調子に乗っている翔も憎たらしい。が、それ以上に今の反応に可愛らしさを抱いていたり、また明日枕元に置かれたプレゼントを嬉しそうに抱きしめ、開けている姿を想像するだけで心がほんわりと温かく、顔が綻んでしまうほど、己が奴に溺愛している事が心底腹立たしいのである。
そんな事悔しくて絶対に奴に知られたくない俺は、本を顔の前で掲げたまま、奴に背を向けソファに寝転ぶのであった。
聖夜の夜まで、あと少し。
12/23/2024, 2:43:41 PM