とある恋人たちの日常。

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 ここ数日、仕事が忙し過ぎて連日残業。新人研修もあるし、それでも普通に救助の連絡が頻繁に来ていた。
 
 俺の疲弊が凄過ぎて、三日目辺りから恋人が俺を気づかって、送り迎えしてくれるようになった。恋人には感謝しかない。
 
「さすがに悪かったな。明日から通常に戻るから……休みたかったら休んでもいいぞ」
 
 人数も少ない上にやることが多い、まさに激務中の激務が一段落したと隊長からの言葉に、俺は片手を挙手しながら勢いよく背筋を伸ばした。
 
「はいっ!! 今日このまま帰宅の上、明日から三日ほどお休みください!!」
 
 さすがに貰い過ぎな気はしないでもないけれど、その分休みを取らなかったし、彼女にかけまくった負担と、疲弊した身体を癒す時間が欲しかった。
 
 毎日、裏口に彼女が送り迎えしてくれているのも分かっている隊長は少し困った顔をしつつも頷いてくれた。
 
「さすがに無理させたからな。許可する。俺からみんなに言っとく」
「ありがとうございます!」
 
 これは即座に無線の電源を付けて叫んだ。
 
「すみません。退勤します! おつかれー!!」
『『『お疲れ様!!』』』
 
 救急隊員から労いの言葉を貰いながら、俺は私服に着替えて裏口に回る。
 いつもより早い時間だから、彼女に迷惑をかけるかもしれない。だが、帰るまでの足が無いのだ。
 
 俺はスマホを取り出して彼女に電話をかける。呼出音がしばらく鳴ると愛らしい声が聞こえた。
 
『はい、お疲れ様です。どうかしましたか?』
「おつかれー! あのね、仕事が一段落したから今日はもう終わったの。迎えに来られる?」
『もちろんです!! わ、嬉しい。すぐ行きますね!』
 
 嬉しいの言葉と共に彼女の声のトーンが上がり、嬉しそうなのが伝わる。
 
『いつもの場所で待っててくださいね!』
「うん。急ぐのはいいけれど気を付けてきてね。スピードの出し過ぎはダメだよ」
『はい! わー嬉しいー!!』
 
 通話が切れる前、喜びを爆発させているのが分かって、俺も嬉しくなる。
 
 今日は彼女とご飯を食べに行こう。もちろん俺の奢りで。
 明日、彼女がお休みできるなら、彼女を抱き締めながらしっかりガッツリ休むぞ!!
 
 俺は休みをどう過ごすか、心を躍らせながら彼女を待った。
 
 
 
おわり
 
 
 
一四六、ココロオドル

10/9/2024, 12:32:32 PM