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 それはあまりにも急な知らせだった。
 全然構えていなかったから、とても驚いた。
 よく思い返してみると、確かにその前兆(と言ってしまっては至極失礼に当たるかもしれない)があったと感じる。
 以前のように機敏に動くことができなくなってきていた。どの動作もゆったりとしていて、一苦労していたのだろう。
 深く考え込む場面も何度か遭遇した。ひたすら沈黙を貫き、脳の奥深いところまで考えが至っていたのかもしれない。
 体調も崩しやすかった。急に猛烈な熱を上げてしまい、体力の消耗が激しかったのだろう。日中眠りに落ちてしまうことが度々起こった。休んでいるうちにまた元気が湧いてきたようだけど、不調に変わりはなかった。
 だから衝撃はあったものの、どこか冷静に受け入れた自分がいた。

 もう寿命なんだな。

 目が覚めて体を起き上がらせ、布団を被ってボサボサ頭のまま、手の中のソレをジッと見つめていた。指先でなぞっても、押しても、コンセントに繋いでも、暗い画面のまま無反応のスマホを。
 これでは、機種変更の申し込みも、データ移行も、何もできない。

 スマホ片手に途方に暮れた朝六時ごろ(腹時計)の出来事である。



『突然の別れ』

5/19/2024, 10:34:50 PM