かたいなか

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ガチャのすり抜け、馬券の想定外、等々等々。
もしも未来が見れるなら、こうした、ああしたは、多々あろうかと思います。
某□Φ貴金属工業さん配布のパンフレットによれば、平成1年の金のグラム最低価格が1568円だったり、令和1年でも4521円だったり。

もしも未来が見えたなら、●●年前の初任給は、ゴールドに全ブッパしてたな云々。
と、いうハナシは置いといて、今回のおはなしのはじまりはじまり。

「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局なる厨二ファンタジー組織がありまして、
ここの環境整備部の空間管理課に、テキサストルネードなるゴーレム使いが勤務しております。

なぜテキサストルネードなんて名前なのでしょう?
管理局が動物の名前をモチーフにしたビジネスネーム制を敷いているからです。
なぜテキサストルネードなのでしょう?
環境整備部(偶蹄目)空間管理課(ウシ科)の局員だからです。
なんかプロレスの技名っぽいですが、本人はとっても優しくて温厚なボクっこなのです。

ビジネスネームが長いので複数の局員からはトルネと呼ばれてるとかそうでもないとか。

で、そんなトルネです。
その日は管理局に整備された難民シェルターの山奥で、夜間キャンプの基礎訓練。
経理部のボクっこマンチカンが、ヘタレっこな自分を鍛え直したくて、強い自分になりたくて、
法務部執行課・実動班特殊即応部門の副部門長、ツバメと一緒に経験を積んでおるのです。

同じボクっこ(男女不問)のトルネとマンチは、演習の中でボクっこ同士の絆が生まれた模様。
自然の中で突発的な発想力と、ひとつの道具に対する応用力、それから危機管理能力等々を、
少しずつ、身につけてゆきました。

「トルネ、今日はきみに、焚き火の番を頼みます」
持ち込んだ食材と調味料と、それから山のスパイスを少々使って、美味しい晩ごはんを食べて、
軽くテントの周囲を確認してから、ツバメがトルネに言いました。
「焚き火の世話は、簡単なようにみえて、それに慣れてる私でもよく気をつける作業です。
何かあれば必ず、私に知らせてください」

はい。頑張ります。
トルネが自信たっぷりに言いますと、
ツバメは小さく頷いて、ひとり、テント周辺の見回りに向かいます。
マンチは疲れてヘトヘトで、イチバン先にテントで就寝。薪を一生懸命割ったのです。

そんな状況からどうお題回収するかといいますと。

「うぅ、 うー、 ねむい」
パチ、ぱちん、 パキ、ばちん。
ひとりっきりで焚き火の世話をしているトルネは、
段々、だんだん、眠くなってきたのでした。
「ちょっとくらい、寝ても、良いかなぁ」
パチ、ぱちん、 パキ、ばちん。
焚き火の静かにはぜる音は、トルネの心の緊張を解いて、リラックスさせてくれます。

薪はあります。
着火剤もあります。
焚き火は、静かに燃えています。
「ごふん、5分、だけ……」
こっくり、こっくり、カクン。
トルネは静かな薪の音を聞きながら、目を閉じて頭を下げて、深くゆっくり呼吸して––

ジャーーッ!!じゅうううう!!

「わ!わぁ!?」
何分経過したでしょう、とてつもなく大きな音と、暗闇の中で目がさめました。
文字どおり、飛び起きたのです。

心臓がドッドッドと高鳴って、舌から血が引き、
トルネは一気に全部が怖くなりました。

「間に合って良かった」
優しい照明のランタンをつけて、ツバメがトルネの近くに立っていました。
「どうやら風の影響で、トルネ、きみが寝ている間に焚き火が大きくなり過ぎたようです」
完全に手がつけられなくなっていたので、焚き火は私が消火しましたよ。
ツバメがそう言って、厚手の手袋で焚き火の近くの、火に当てられて完全にススけた箱を掴みます。

それは間違いなく、トルネのお気に入りのステンレス調理器具、メスティンでした。

「ごめんなさい」
「良いのです」
「ホントに、本当に、ごめんなさい、
もし未来を見れるなら、ボク、居眠りなんてゼッタイにしなかったのに」
「良いのですトルネ。まず、落ち着きましょう。
ハナシはそれからです」

ドッドッド、どっどっど。
トルネの緊張はそれから数十分続きまして、
ツバメと話をして、反省をして、少し空が明るくなった頃、ようやく寝付きましたとさ。

4/20/2026, 4:15:41 AM