終花

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『さよならは言わないで』

恋をしていた。君の事が大好きだった。
でもね、私の恋はまだ叶わないみたい。
この人生じゃ、君と運命を共にする事ができないみたいなんだ。

恋が足りない。愛が満たされない。

17年の人生。名前も知らない誰かのせいで、それは幕を閉じてしまった。
まだ、もっと、誰もが羨むほど長く、
アスファルトの隙間からたんぽぽが顔を出したら、今日はいい日だ、って思える様な、
幸せってものを感じてたかったな。

狭い箱の中、花に埋もれて眠る私が見える。
目蓋を腫らして泣いているいる君も見える。

ごめんね。

私の声は届かない。
君の涙は宝石みたいだねって。思ったよ。場違いだけど。綺麗だな。

あ、待って。
さよならなんて言わないで。

君の顔を見ながら、私は少し焦っている。
「さよなら」なんて言われたら、もう会えない気がするからさ、絶対言わないでよ。

さよならは言わないで、またねって言ってよ。

そしたらね、君が飼いたがってた、猫になって会いに来るから。もう一回、次は家族になりたいなって思うの。
ほら、君と私、赤い糸で繋がれてるからさ、また一緒にいられると思うんだ。
だから絶対に見つけてね。私もいっぱい探すからさ。
だから、別れの言葉なんて言わないで。




「またね、純恋(すみれ)」




――あ、好き。
私はもう一度、君に恋をした。

震える君の身体を抱きしめたいと思った。
もう叶わない。
最後に君の涙を拭いたい。
もう触れない。
もっと君に愛を注ぎたい。
できない。
苦しいね。

ね、聴こえてるかな。



またね。

12/3/2024, 1:21:09 PM