三碧

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「当然みたいな顔して生きてるけど、もしかしたら明日死ぬかもしれない。それなのに、ずっと一緒にいようだなんてよく言えるよね」
 ちょっと意地悪言ったら、ぴくりと片方の眉を上げて。
「きみといれば、1秒だって1000年だって、ぼくにとっては『ずっと』だよ」
 腹の立つほど余裕の笑み。
「1000年なんてそんな先、人類みんないないかも。そんなのつまんない」
 むっとしながら繰り出したのがだいぶ稚拙な反論だったから、ちょっと楽しげですらあるそれはまったく崩れない。
「だったらきみとふたりきり、源氏物語でも読み耽ろう。1000年前の恋の物語を1000年先で読むなんて、ロマンティックこの上ない」
 そうやってますます愉快そうに、ころころ声を立てるものだから、こっちもついつい笑ってしまう。どうしてここで源氏物語が出てくるのか謎だけど、そんな突飛さも可笑しくて。
 ああ、このひととならきっと1000年先でも大丈夫。そんな気がした。

2/3/2024, 12:55:49 PM