皆月いく

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彼女は気がついたら、あたしのそばにいた。
どんな辛いことがあっても、どんなに嬉しいことがあっても、笑ってあたしの話を聞いてくれた。
「友達」なんて都合のいい呼び方なんてしたくないし、「家族」なんかよりも上っ面な関係じゃない。
あたしにはそんな人達はいないし、信じたことないからわからない。
彼女と一緒にいるときは、本当のあたしでいれる気がするから。
でも、本当は知ってる。
あたしがいつまでも子どもでいられないのと同じように、彼女との別れがいずれ来てしまうことに。
手離したくない。いや、手放さなければいけない。
あたしが、前に進むために。
いつか、あたしは彼女を忘れてしまうだろう。
それでも、あたしの全ては、寒くも暖かかったあの日にあったことを、絶対に忘れないから。
だから、せめて思い出の中では生きていてよ。
存在しない彼女に、あたしから都合がよすぎる最期の言葉を残そう。

「行かないでよ。」

10/24/2023, 12:23:25 PM