猫とモカチーノ

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「あっちぃー!溶ける!」
「まじ今日なんでこんな暑いんだよ!」

学校の帰り道。

今日は7月とは思えないほどの真夏日な上に風もなく、外は地獄のような暑さだった。

制服のシャツを仰いでも、ハンディファンを使っても意味をなさない。

「学校に戻りたい……。全然家つかないんだけど」
「耐えろ光輝。足を止めたら死ぬぞ」

そういう涼太こそ、今にも死にそうな顔をしていて笑えなかった。

「……あっ」
「なんだよ」
「み、水が……」
「みずぅ?」

視線を横にやると、いつも通る小川が流れている。
いつもは水がなくカラカラなのに、昨日雨が降ったからか、少しだけ水が流れていた。

「……なぁ、今同じこと思ってるよな」
「あぁ……!走れ!!」

残った力で2人で小川に向かってダッシュ。
川辺に着くと、荷物を捨て、靴を捨て、靴下も捨てて、狂ったように川に飛び込んだ。

「水きもちー!!」
「涼しすぎる!自然最高!!」

まさにオアシス。
夏の川がこんなに気持ちいなんて、どうして今まで気づかなかったのだろう。

「光輝くらえっ!」
「ぶっ」

突然全身に飛んできた水。
してやったりと言う顔で笑う涼太の宣戦布告。

「やったなぁ!!」
「うわっ!」

間髪入れずに水をかけ返した。

それからはお互い楽しくなって、終わりのない仕返しが続いた。

真夏のようなギラギラの日差しに照らされて、水がキラキラと光っていたのが印象的だった。


お題『日差し』

7/3/2024, 6:58:44 AM