小音葉

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皆が指差して笑うの
どうして、どうして、私何も悪いことしてないのに
嘘吐き、ホラ吹き、ペテン師と
皆が私を囲んでそう呼ぶの
おかしな話ね、嘘吐きは一体どちらなのか
本当は虚実なんてどうでもいいくせに

切り刻まれた傷は今なお癒えず
瘡蓋のミルフィーユは分厚い仮面
もう二度と剥ぐことも叶わない
あなたのせいよ、忘れているでしょうけど

裁かれない罪は誰の爪も牙も汚さずに
すっかり整えられた綺麗な毛皮で闊歩する獣共
私はあなたを許さない
あなたのことを許さない
忘れていても、その虚飾に塗れた爪は赤黒く
グロテスクな光沢を纏う唇からは腐った肉の匂いがする
人の振りした獣共よ
改めようと振り払おうと、私はあなたを許さない

茹だるような夏の日に
あなたは一緒に泣いてくれたのに
二人して汗だくで、先に帰ってもよかったのに
そばに居て励ましてくれた
あなたはどこへ行ったの、ねえ

だから私は嘘吐きになった
大丈夫、私は一人で生きていける
誰も愛さず、誰も守らず、泣きも笑いもしないのです
怒りも喜びも、私を騙す嘘なのだから
私は愛を信じない、私は恋を求めない
晒されて枯れる想いなら、きっと初めから嘘なのです

(隠された真実)

7/13/2025, 10:41:16 AM