わをん

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『桜散る』(桜の森の満開の下)

ずっと探しものをしている。桜の花びらを掻き分け、腐った落ち葉の混じる土を掻き分けると好いた女の死に顔に行き着くのだが、瞬きをすればまた目の前の地面は花びらで埋め尽くされている。
冷たい風に頬を撫でられて顔を上げるとおれ自身が花びらに変じ、気づいたときにはまた地面を掻き分けている。手を止めて爪の間に入った土を眺めていると遠い昔のことを思い出しそうになるのだが、落ちてくる花びらに気を取られてまた地面を掻き分けることになる。
ずっと同じことの繰り返し。気が狂う間もないほどに満開の桜から花びらが散り続けている。

4/18/2024, 3:00:48 AM