一生の別れ。それは本当に辛いことだ。もう会えないとわかっているからこそ本当に辛い。僕は10歳の頃、カズヒロというおじいちゃんがいた。そのおじいちゃんはお母さんが言うには、本当に厳しいおじいちゃんだったらしい。勉強する時は毎回見張られながら勉強したり、外出するのは週に一回。そんな厳しいおじいちゃんがある日、膵臓がんになった。おじいちゃんは入院した。昔はあんなにも厳しく、しっかりとした人だったのに、今となってはガリガリで弱々しい顔になっていた。そんなおじいちゃんがある日、余命宣告を受けた。残り3ヶ月らしい。それを聞いたお母さんはこれまで見たことないくらいに泣いた。それはそのはず、お母さんのお父さんであり、ずっと一緒に暮らしていた仲だから。お母さんはそんな短い命なんだから、最後くらい何かしてあげようと思って、色々と計画した。おじいちゃんはお笑いが好きだったから、僕と妹と母で漫才をしたり、みんなで、クイズ大会をしたり。色んなことをした。短い3ヶ月と言う期間に、3年以上の思い出を作った。そして、余命宣告を受けて2ヶ月と3週間。おじいちゃんは前より痩せていた。「もうそろか」と、お母さんは言った。それは何かを確信したように。病院の一室はとても静まり返っていた。けど、みんな笑顔だった。おじいちゃんは言った。「ありがとうな。こんな死にかけの俺にいろいろしてくれて。」それを聞いた瞬間、僕はおじいちゃんとしたことが蘇ってきた。気づいたら目から涙が溢れていた。「こちらこそ。」僕は心の中でそう思った。
「おきろーーー!」大きな声と共に僕はベットから起き上がった。窓から差した日が眩しい。僕は今16歳。もう立派な大人になった。お母さんもシワが増えてきて、だいぶ歳をとったように見える。僕は朝から、ランニングに行こうと思った。歯を磨いて、ご飯を食べて、着替えて、準備万端だ。「行ってきまーす!」そんな声と共に僕はカズヒロおじいちゃんと一緒に太陽が差す眩しい外へと走って行った。
でもなぜだろう。なぜあの棺桶の中には内山がいたのだろうか。
9/28/2024, 10:55:13 AM