becks

Open App

    「絆」


今日の昼休みも私の横には先輩がいる。
学年が違う私にとって唯一先輩と一緒にいられる時間だ。
とても心地良い空間、私が素直でいられる空間。
最初は私が来るたびに怪訝そうな顔をしていた先輩も、
今では私の分のジュースを準備してくれている。
素っ気ない態度は相変わらずだけどそれがとても嬉しい。
「ありがとうございます」
「おう」
「でもなんで先輩私の好み知ってるんですか?もしかして私のことつけてます?ストーカーですか?」
「ストーカーって言うならお前だろ。ここバレちゃったし」
「前にお前が自販機で買ってるの見かけたんだよ。それだけだ」
「冗談ですよ先輩」
ちょっと不機嫌そうな先輩に私はいつものように肩に寄りかかる。
先輩は何も言わず肩を貸してくれる。
「ちょっとずつだけど思いは届いてるのかな」
「なんか言ったか」
「なんでもありません。ズルい先輩には内緒です」
「そうかよ。早く寝ろ」
「変なことしないでくださいよ!」
「しねーよ」
私は先輩との距離に嬉しさを感じながら明日も屋上に向かうのだ。

3/6/2023, 11:33:10 AM