ベッドから起き上がると、窓にかかるカーテンの隙間から細い光の筋が射し込んでいた。
わたしはゆったりと体を起こしてから、今日が久しぶりの休日であったことを思い出す。
わたしは布団から抜け出して、絨毯の上に裸足のまま立ち上がると、窓辺へ近づきカーテンを開けた。薄暗かった室内が眩しい光に照らし出され、心地良い温さが起き抜けの感覚を徐々に醒ましていく。
トン、トン、トン。
部屋の扉をノックする音が聞こえた。
わたしがそちらへ振り返るのと同時に、扉が控えめに開かれる。
「おはようございます。朝ごはん出来ていますけど、どうしますか。せっかくのお休みですし、もう少しあとにします?」
私が起きていたことに、心なしかほっとしたように安堵した彼女へ、「いや、いま行くよ」と返す。その途端にぱっと花やいだように表情を明るくした彼女が「じゃあ、待ってますね」と明らかに声を弾ませたことに、私は顔には出さずに内心で苦笑した。
部屋の扉が静かに閉じられた後、わたしは窓辺から離れ身支度を整え始める。
もう何十年も思ってきたことだが、わたしの朝はいつも、お日様に包まれたような心地から始まる。
【朝日の温もり】
6/10/2023, 7:41:44 AM