【子供のままで】
ずっと子供のままでいたい
そんな密かな思いからだった
僕の歳が変わらなくなったのは…
ある日の事僕は親にバレないように森に遊びに行った
初めて来た森の中は暗くて少し怖かったけど何が待ち受けているのだろうという好奇心に満ち溢れていた
奥へ奥へ進んでいくうちに段々と日が沈んでいった
僕は道に迷ってしまった
どうしようと困っていると一人の女性が目の前に現れた
「坊や、道に迷ってしまったかい?私が森の外まで案内してやるから着いてきなさい」
と女性が言った
女性は黒い服を着ていて帽子を深く被っていて表情がよく分からなかった
けど、ここから出られるならと思った
「う、うん、おばさんはここによく来るの?」
「ああ、勿論来るさ、薬草やらを摂りに行かないと生きてけないからねぇ」
「薬草?おばさん、お医者さんなの?」
「いや、まあ、そんなところかね」
お医者さんじゃないのになんで薬草なんか集めてるのだろうと思った
「ねえ、坊や、坊やには願いや想いはあるかい?」
願いや想い
だったら!
「うん!僕ずっとこのままでいたい!ずっと子供のままで生きていたい!」
と言うと突然視界が暗くなった
〖そうかい、坊や、素敵な願いだねぇ、私が叶えてやるよ、……………で…る……を〗
と女性が最後に言った気がした
目が覚めると父と母の心配そうな顔が初めに見えた
「父さん、母さん?僕、勝手に…」
「よかった、生きてた…」
と母さんが言った
その時僕は決意したもう森には行かないって
その日から1000年の月日が経った
僕は子供のまま思考は大人になった
今の僕には、家族も友達もいない
僕は…
ずっと独りだ
5/13/2023, 8:45:53 AM