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毎日違う場所で眠るということ。世界にお気に入りの場所を持つということ。それらは容易に奪われうるということ。また次の場所を探し、妥協するうちにその場所が一番安らかに思えてくること。
じっと立ち止まって、私達には聞こえない音を聞く。彼らの世界は捕食/被食の鮮やかな版画。彼らは空を飛べることを自由だとは思わない。地を這いずる動物を羨ましいとも思っていない。彼らは世界である。世界がそうすれば自分もそうする。世界という胎の中で眠りながら起きている。不眠症の人間は、その安らかな寝顔を、心底羨ましいと思ってしまうのだ。

8/21/2024, 2:38:36 PM