チャレンジ10 (澄んだ瞳)
病院の待合室でのこと。
ふと気づくと、2歳くらいの男の子が私を見ている。澄んだ瞳に青空が映っている。楽しませるようなことを、何か言いたい。悔しいが、何も浮かばない。いや、正直に言うと、「カラスの勝手でしょ」というのを思い出したが、教育上まずいかと思ってやめた。
坊やを見る。澄んだ瞳に、心が清々しくなる。大人の悩みを吹きとばしてくれる涼やかさだ。瞳の中の青空は明るい。
坊や、ありがとな。
私は声に出して言った。慌てて駆けつけてきた坊やの母親が、不思議そうな顔をした。
7/30/2024, 10:23:23 AM