定まらない

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人生でいちばん、出会いたくなかった人。

そう言うのが、正しいのだろうか。

春風を感じられないのは、あの人のせいだったのだろうか。

燻る花粉に皮膚が剥がれる。

幸も不幸も、半分こにして
どちらが多く余ることないよう、同じだけ食べる。
苦しくならないように。

あらゆる憎しみや葛藤を押しやり、
「ありがとう」と口にしてみる。

そう言えば、なにかを忘れられるのだろうか。


部屋に淡い煙が漂っていて、よく見えない。

どこに扉があるのかは分かっている。

でも、視界を遮るこの煙を手放すのが惜しくて

目隠しに利用する。


やがて、赤い蕾が膨らんだ。

咲いてしまう前に、冷凍庫に入れて凍らせてしまった。

見たくもない。

咲いたら、朽ちていくだけなのに。


今日は雲が低いな

そろそろ初夏か。

特別明るくも、暗くもない、

それなりの晴れ空。

暑さや寒さの温度は感じない。

なんら普通で、つまらない空模様。

そこそこ美しい夕焼け空。

写真を撮るほどでもない、夕焼け雲。


仕方がない。

仕方がない。

仕方がない。

苔を指の腹で撫でる。

青臭い匂いが鼻を掠めた。

一生、ここにいればいい。

もう何も見えないのだから。


山椒を、かける。

箸が進まない。

視界が、床にある。

前を向けない。

花株を植えれば、花畑になるだろうと。

あぁ、足首を擦る雑草が痛い。


これを愛というには、あまりに薄情だろうか。

涙の一つも出やしない。

何に対して燻らせているのかもわからない。

私は風媒花になりたい。

5/6/2026, 2:45:38 AM