灰田

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「雨に佇む」

私が雨に佇むならば、グレーの傘の内側に…
リアルな雨より遥かに優しい、水気を含んだ…
紫陽花の花を咲かせよう。

誰にも見えない花。誰に、見えなくてもいい花。
グレーの傘の内側いっぱい、
吹きこぼれるように咲かせよう。

風に花びらがこぼれて、私がそれを目で追っても、
君には見えない。
でも、淋しくはないの。…私がそうしたのだから。

雨の日の薄暗い傘の中に追放された花盗人が、
盗んだ花に取り巻かれて、佇んでいる。
追放したのは君だけれど、本当のところはわからない。
私が追放されたくて、されたのかもしれないよね?

孤独にたった独り、雨の中に佇むふりをして、
傘の中に培われた幻想の花に溺れる…

君に見えている私と見えていない私の乖離があるけれど、
君は片方の私だけしか知らないままでいていい。

ちょっと意地悪な気持ちで、誰にもわからないように笑う。


「ずっと知らないままでいて、いいんだよ」って笑う。



8/27/2024, 10:42:59 AM