波打ち際で、
こんな寒いのに裸足で歩いている。
靴をぶらぶら振り歩いて、
吐く息は熱いのに鼻が冷たい。
砂を踏む度に冷たい海水が染み出して、
余命3ヶ月の弱々しい波が
足の下に隠された小島をさらった。
あの湖畔よりも波が小さいの。
可哀想。
日が沈む少し前。
いつもより高い空がおかしな色をしていた。
こんなに透き通った日なのに、風が小さい。
なんだか綺麗な人が向こうから歩いて来ている。
それに急ぎ足の月がゆら、とつぶれて
月のみどりって、
ゆずの香りがするんだなぁって
思ったところで犬に吠えられた。
いっちょまえにあんた、
守ってるんだ。
多分世の中には徳の高い犬と
おばかさんないぬがいるんだろ。
今日はチーズケーキを食べる。
明日はたぶん、チョコレートケーキ。
「ゆずの香り」
12/22/2024, 5:10:46 PM