月下の胡蝶

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お題《快晴》



青空には白がよく映える。


庭を真っ白に染めるほどの大量の洗濯物を干す傍ら縁側では、狐面の青年がのんきに茶菓子を食べている。それはこの前白雪が持ってきた、都市伝説にもなってる人魚焼きだ。人魚の生き血が練り込んである……とか何とか。


「ちょっとは働きなさいよね」


小言など言いたくないが、何も言わないと永遠にだらけるのだこの男は。


「んーヤダ。働くのってエネルギーいるし」

「またそんな屁理屈言って。この前もその前もあなたそこでお茶飲んで、茶菓子食べてばっかりだったじゃない」

「そこに茶菓子があるから?」

「そこに山があるからみたいに言わないで」



洗濯物を干し終え、思わず深い溜息が溢れる。





こうなったのも全部母のせいだ。



――この狐面の面倒を見なきゃいけなくなるなんて。



そしてその母は。







「久しぶりにちょっとそこまで出かけてくるわ。後はよろしくね。くれぐれも、頼むわよ」




いい笑顔で、行き先も告げず――連絡先も教えず、そのままだ。


4/14/2023, 7:57:10 AM